動画制作は、企業や個人のブランディングやWebマーケティングにおいて、情報を視覚的かつ直観的に消費者に伝えるために欠かせない手段です。
ただし、動画制作には、人件費や時間といったコストがかかります。特に、動画制作の流れを把握していない場合、想定以上にコストがかかってしまうことも珍しくないでしょう。
このような状況を避けるためにも事前に動画制作の流れやそれに伴うスケジュールを把握しておくことは重要で、中でも制作会社に動画制作を依頼する場合は、一般的な費用・納期を理解しておく必要があるでしょう。
この記事では、動画制作の基本的な流れと、制作会社に依頼する際の発注から納品までのスケジュールについて解説します。
「どのような流れで動画を制作するのか知りたい」「発注から納品までの具体的なプロセスを知りたい」
という方は、ぜひ参考にしてみてください。
動画制作の基本的な流れ【4ステップ】
動画制作は、動画内容の企画から公開までにいくつかの工程があり、どのような動画を制作する場合でも、基本的に次の4ステップの流れで進められます。
企画・構成
動画制作で最も重要な工程が「企画・構成」です。
ここでは、動画制作の目的を定め、誰に、どこで、どのように動画を発信するかを明確にするために、以下の3つのポイントを抑えることが重要になります。
- なぜその動画を制作するのか
- 視聴者のターゲットは誰を想定するのか
- どのプラットフォームで動画を公開するのか
これらのポイントを1つずつ見てみましょう。
なぜその動画を制作するのか
動画制作の目標には、ブランドイメージの強化、知名度のアップ、製品やサービスの紹介、販売推進など、様々なものがあります。
動画を作る際には、なぜその動画を制作するのか、という目的を企画の段階で明確にしておくことが大切です。
その結果、視聴者が動画を見た後にどのようなアクションを取ってほしいのか、具体的な目標を立てることが可能になります。
例えば、単に「新製品を知ってもらいたい」という漠然とした目標よりも、「新製品を見た人に購入を促したい」という明確な目的を設定することで、動画のターゲット層や内容の流れをよりスムーズに計画することができます。
視聴者のターゲットは誰を想定するのか
次に、誰に向けて動画を制作するのか、ターゲットを明確に設定します。
製品やサービスを広く認知してもらいたい場合は、狙うべき顧客層を特定し、そのグループに合ったターゲット像を具体化します。
例えば、20代の女性を主なターゲットとする化粧品の紹介動画を制作する場合、この世代の女性が関心を持つトレンドやビューティーテクニックを動画に取り入れると効果的でしょう。
また、動画のスタイルには、明るくフレッシュな色使いや若々しい音楽を選び、製品の特徴だけでなく、使い方や仕上がりのビジュアルを強調することで、ターゲットの関心を引き、視聴後に実際に製品を試したいと思わせる内容を企画します。
このようにターゲットを明確に設定することで、動画のテイストや内容がより鮮明になり、訴求ポイントが絞り込みやすくなります。
どのプラットフォームで動画を公開するのか
動画のターゲットを明確に定めることができれば、どのプラットフォームに動画を公開すれば最も期待する効果が得られるのかを検討することができます。
動画を公開するプラットフォームとしては、主に次の5つが考えられ、それぞれの特徴にあった動画を制作することがポイントです。
- YouTube
- Tiktok
- X(旧Twitter)
各プラットフォームは年齢層や利用目的が異なり、それに応じて動画のスタイルや長さも変わってきます。
そのため、各プラットフォームに適した動画制作が求められます。
動画の撮影
企画・構成が決まれば、撮影を行います。
ここで注意すべきポイントは、企画・構成で決めたコンセプトを忠実に再現する撮影を行うこと。
そのためには、ロケーションとキャストの選定、撮影機材を事前に準備し、カメラの構図(アングル)などをチェックしておくことが重要です。
また撮影には、通常半日~1日、もし屋外での撮影を行う場合は、天候状況に応じて数日~1週間ほどのスケジュールを見積もっておいた方が良いでしょう。
- ロケーションの選定
- キャストの選定
- 撮影機材の準備
- カメラ構図(アングル)のチェック
- 天気予報を事前にチェック
もし撮影後に映像の取り直しが発生した場合、動画制作のスケジュールが押し、撮影にかかるコストが予算オーバーする可能性があり、最悪の場合は企画・構成から検討し直す必要が生じることもあります。
このような状況を避けるためにも、撮影前の事前準備は入念に行いましょう。
動画の編集
続いて、撮影した映像を編集して1つの動画に仕上げます。
以下の流れで動画編集を行うとスムーズに完成まで進めることができます。以下、動画編集の流れになります。
- 映像素材をタイムラインに並べる
- 完成時の尺(動画再生時間)に合わせて各素材をカットする
- 各映像の繋ぎ部分にトランジションを追加する
- テロップを追加する
- 効果音・ナレーションを追加する
動画編集において注意すべきポイントは、始めから細部に拘り過ぎないことです。
まず始めに、動画の全体像を大まかに作り、その後にトランジションやテロップなどの追加編集を行い、1つの動画を完成させることを心掛けましょう。
なお、動画の編集は、撮影した映像を企画・構成で決めたコンセプトに沿って組み立て、視聴者に伝えたいメッセージを効果的に伝えるための重要な工程です。
そのため、編集は常に視聴者目線で、また過度なエフェクトは避けましょう。
動画編集が完了すれば、誰かにテスト試聴してもらい、フィードバックを貰うことで客観的な視点を取り込み、より視聴者に沿った動画を制作することができます。
動画の公開
編集が完了したら、動画を公開します。
動画を公開するプラットフォームは、企画・構成の段階で決めているはずです。
動画公開前に、制作した動画が公開予定のプラットフォームのターゲット層にマッチしていることを確認しましょう。
また、公開時にはSEO対策やタグ付け、著作権や各プラットフォームの規約に違反していないかを確認しておくことも重要です。
各プラットフォームの特徴を以下にまとめているので、参考にしてみてください。
YouTube
幅広い年齢層が利用している世界最大の動画共有サイトです。
長尺の動画も扱え、教育的なコンテンツや製品レビュー、チュートリアルに最適なプラットフォームです。
短い動画やストーリーズ機能を利用して、日常的な瞬間や製品の魅力を気軽に伝えられる野に適したプラットフォームです。
Tiktok
短い動画が中心のエンターテイメント向けのプラットフォームです。
特に若年層に非常に人気で、トレンディでクリエイティブなコンテンツが好まれる傾向があります。
X(旧Twitter)
リアルタイム性が高く、情報の拡散力が強いプラットフォームです。
短めの動画でニュース性の高い内容や話題の製品を紹介するのに適しています。
幅広い年齢層に利用されており、特に中高年層に強いプラットフォームです。
長めの動画でも視聴されやすい特徴があります。
動画制作を依頼する際の流れ・スケジュール
自社で動画制作が難しい場合、制作会社に動画制作を依頼(発注)することも可能です。
ただし、動画制作を制作会社に依頼する場合、「丸投げしてOK」という訳にはいきません。
動画の目的、動画を通して伝えたいメッセージ、動画を届けたいターゲット層などの情報を制作会社と共有する必要があります。
そのためには、密なコミュニケーションが重要になり、一緒に動画を作り上げるモチベーションがなければ、期待したものと違った動画ができ上ってしまう可能性があるので注意しましょう。
以下では、動画制作を制作会社に依頼する際の具体的な流れについて解説します。
- 事前準備
- 動画制作会社の選定
- 動画制作会社と打合せ
- 構成案の作成・フィードバック
- 見積もり・発注
- 撮影
- 動画編集
- 初稿確認・修正依頼・納品
事前準備
動画制作を制作会社に依頼する前に「動画のイメージ」と「予算と納期」を明確にしておきましょう。
動画のイメージ
動画制作を制作会社に依頼する前に、自社で企画・構成を行い、どのような動画を制作したいのかを明確にしておきます。
動画のイメージが明確であるほど、制作会社との情報共有がスムーズになり、期待に沿った動画を制作してもらえます。
もし動画のイメージを明確にせず、制作会社に丸投げした場合、期待とは異なる動画が仕上がってしまい、トラブルに発展する可能性もあるのでご注意ください。
なお、動画のイメージを上手く言語化できない場合は、制作して欲しい動画イメージに合った参考動画をいくつか用意しておくことで、ミスコミュニケーションを回避することができるでしょう。
予算と納期
依頼前に、動画制作の予算、納期を明確にしておくことで、依頼時の制作会社とのコミュニケーションがスムーズに進みます。
なお、予算には修正にかかるコストを事前に確認しておくことで、依頼後の金銭的なトラブルを避け、円滑に動画制作を進めてもらうことができるでしょう。
動画制作会社の選定
動画のイメージ、予算・納期が決まれば、動画制作を依頼する制作会社を選定し、連絡を取りましょう。
なお、動画制作会社を選定する際は、制作会社のポートフォリオ(過去の動画制作実積)を必ずチェックしてください。
動画制作会社によって、得意とする動画ジャンルが異なる場合があります。
例えば、アニメーション動画を得意とする会社や教育コンテンツ動画が得意な会社など、制作会社によって得意とする動画ジャンルは様々です。
自社がイメージする動画に近いポートフォリオを持っている制作会社を選定することで、より理想とするイメージに近い、もしくはそれ以上の動画を制作してくれることが期待できます。
なお、動画制作会社は1社だけでなく、複数社を選定して、同時に動画制作の問い合わせ・相談をしましょう。
複数の制作会社に問い合わせることで、コミュニケーション・サービスの質、見積もり価格などを比較することができます。
動画制作会社と打合せ
動画制作会社が決まれば、直接アポイントメントを取り、打合せを行います。
この時の打合せの段階で、動画の目的やターゲット層をどれだけ明確に伝えられるかが、期待に沿った動画が制作してもらえるかどうかのカギを握っています。
打ち合わせで伝えるべき重要なポイントは以下の通りです。
- 動画制作の目的
- 視聴者のターゲット層
- 動画視聴後に期待するアクション
- 動画を公開するプラットフォーム
- 予算・納期
上記が明確に固まっていない状態で、制作会社と打ち合わせを始めることはおすすめしません。
もちろん、漠然とした動画のイメージを伝えるだけでも、制作会社側で動画のイメージを具体化して、どのような動画を制作するかの案を提案してもらえるでしょう。
ただし、動画制作は企業や商品・サービスのブランディングやWebマーケティングの手段であり、動画を通して何を得たいのか、それを考えるのは依頼者の役割です。
ゴールが明確に定まっていない状態で動画制作を依頼しても、期待する効果を得るのは難しい、ということは抑えておきましょう。
構成案の作成・フィードバック
打合せで共有した動画イメージをもとに、制作会社が依頼された動画の構成案を作成します。
ただし、この段階での構成案はあくまでも依頼主との間でミスコミュニケーションがないことを確認するためのざっくりしたものです。
具体的には、次の内容を構成案を基に確認する流れになります。
- 動画全体の流れ
- 編集スタイル
- テキスト(字幕)のスタイル
- 音楽や効果音
- ナレーション
- キャストの選定
なお、構成案では簡単な絵コンテなどを作成して、動画全体の構成や流れ、編集スタイルなどを確認し、必要に応じてフィードバックを行い、最終的な構成を決定します。
見積もり・発注
構成が決まれば、制作会社に見積もりを出してもらい、動画制作の費用と納期を確認し、問題が無ければ発注する流れになります。
なお、見積もりを依頼する際には、以下の点を必ず確認しましょう。
- 見積もりの内訳
- 追加費用の可能性
- 修正回数と追加費用
- 著作権の取扱い
- キャンセルポリシー
上記のポイントを事前に確認しておくことで、発注後のトラブルを避けることができます。
例えば、当初の計画になかった追加作業が必要になり、見積もりには含まれていなかった追加費用が発生する場合、これがトラブルの原因となることがあります。
修正回数や条件、著作権の扱い、キャンセル時の費用についても、事前に確認しておきましょう。
撮影
発注後は、制作会社により、事前打合せした動画構成に従って撮影が行われます。
撮影は制作会社が全てのスケジュールを組み、キャストおよび撮影機材を用意して行われます。
ただし、撮影現場には依頼者も同行することをおすすめします。
撮影に同行することで、演出やイメージに相違がないかをリアルタイムで確認することができ、希望があれば即座に撮影に反映してもらえます。
これにより、依頼者と制作会社とのミスコミュニケーションを未然に防ぎ、かつ撮影がスムーズに進められるでしょう。
動画編集
撮影された映像素材を基に、制作会社によって動画編集が行われます。
動画編集の流れは、打合せした構成を基に以下の流れで1つの動画を制作します。
- 映像素材をタイムラインに並べる
- 完成時の尺(動画再生時間)に合わせて各素材をカットする
- 各映像の繋ぎ部分にトランジションを追加する
- テロップを追加する
- 効果音・ナレーションを追加する
動画編集は制作会社にすべて任せてOKのプロセスです。
ただし、動画編集が始まる前に、最終的に仕上がる動画のイメージを共有しておき、動画編集完了後の修正ができるだけ少なく済むように再度打合せしておいた方が良いでしょう。
もし修正箇所が多い場合、予定していた納期に間に合わなかったり、追加費用が発生するケースもあります。
このようなトラブルを避けるためにも、動画が完成するまでは制作会社と密に連絡を取り合い、ミスコミュニケーションが生じないように心掛けましょう。
初稿確認・修正依頼・納品
制作会社によって動画編集が完了後、初稿の動画を依頼者側で確認し、必要に応じて最終的な修正依頼を行います。
初稿の動画を確認する際は、動画の内容(映像、テキスト、ナレーション)が正確であることを入念に確認してください。
特に、テキストの誤字・脱字には細心の注意を払いましょう。
修正完了後、再度動画を確認し、問題が無ければ納品、という流れになります。
通常、動画は「mp4」形式で提供されることが多いですが、もし「AVI」や「MOV」など異なるフォーマットを希望する場合は、事前に伝えておくとスムーズに納品が行われます。
納品完了後、お見積りの費用をお支払いします。
以上が動画制作を制作会社に依頼する際の基本的な流れとなります。
動画制作を依頼する際の注意ポイント
動画制作を制作会社に依頼する際は、以下の注意ポイントを事前に確認しておきましょう。
動画制作は発注から納品まで1~3ヶ月かかる
動画制作を制作会社に依頼する場合、一般的には、発注から納品までに1~3ヶ月程度の時間がかかります。
正式に依頼を行う前の打合せ段階のフェーズを含めると、1つの動画を完成させるまでに3ヵ月以上かかるケースもあるでしょう。
なお、動画制作にかかる時間は、動画の規模、ジャンル、さらには制作会社の作業スケジュールによって期間は前後します。
もし短い期間で動画を制作して欲しい場合は、クラウドソーシングサイト等を利用してフリーランス(個人で動画制作を行っている人)に依頼する選択もありますが、品質を優先するならば、時間がかかっても専門の制作会社に依頼する方が賢明でしょう。
動画制作の予算は1本あたり30~200万円
動画の制作費用は、動画に求めるクオリティや長さ(尺)、動画の内容や規模によって大きく変わります。
一般的には、動画1本あたり、30万円~200万円程度が相場となりますが、依頼内容によっては、より高額になるケースもあります。
例えば、撮影する映像の量や質、制作に必要な時間、専門スキル(特殊な加工やアニメーションなど)の要否によってもコストは変動します。
動画制作を依頼する際は、どの程度のクオリティを求めているのかを明確にし、予算に合わせて見積もりを出してもらうことが大切です。
見積もり以外の追加料金は事前にチェック
動画制作の過程において、撮影場所の変更や、追加撮影、依頼後の構成や編集内容の変更が生じた場合、見積もり以外の追加料金が発生するケースがあります。
通常、何回までの修正は対応可のケースはありますが、追加撮影が発生する場合は追加料金が発生するのが一般的です。
依頼後の金銭的なトラブルを避けるためにも、見積もりの内訳をチェックし、追加料金の発生条件やそれに伴う費用の詳細を契約前に確認しておきましょう。
動画の目的・コンセプトを制作会社と共有する
動画制作を制作会社に依頼する場合、依頼者と制作会社間とのコミュニケーションがとても重要になります。
制作したい動画のイメージをどれだけ制作会社と共有できるかによって、期待する動画を制作できるかどうかが決まります。
動画の目的が自社のブランディングや商品・サービスのWebマーケティングの場合、視聴して欲しいターゲット層や、動画を視聴後に期待するアクションなどを明確にし、制作会社と共有しましょう。
そのためには、動画制作を「丸投げ」してはいけません。
依頼後も制作会社と密なコミュニケーションを継続することで、より期待に沿った動画を制作できるでしょう。
発注後は任せっきりにしない
動画制作を依頼したからといって、その後は制作会社に全てを任せきりにするのは避けましょう。
定期的に進捗状況を確認し、必要に応じてフィードバックを提供することが重要です。
例えば、撮影が行われる際は撮影現場に同行して、演出やイメージが打合せした構成通りに進んでいるかを確認し、もし希望があればその場で撮影に反映してもらいましょう。
まとめ:動画制作の流れは4ステップでOK!制作会社に依頼する際は密なコミュニケーションが重要!
動画制作は現代の企業や個人にとって、ブランディングやマーケティング戦略において不可欠なツールとなっています。
動画制作のプロセスには、動画内容の企画から公開までにいくつかの工程があり、どのような動画を制作する場合でも、基本的に次の4ステップの流れで進められます。
- 企画・構成
- 動画の撮影
- 動画の編集
- 動画の公開
しかし、動画制作の経験がない場合、上記の過程において想像以上のコストがかかってしまうことも珍しくありません。そのため、もし動画制作をビジネス戦略として考えている場合、専門の制作会社に依頼することをおすすめします。
ただし、制作会社に依頼する際には、動画の目的や視聴者のターゲット層、予算や納期などを事前に明確にしておく必要があります。
発注後も進捗確認やフィードバック提供を通じて、密なコミュニケーションを保つことが成功の鍵となることを理解しておきましょう。なお、動画制作の相場は、依頼する動画の内容・クオリティによって異なりますが、一般的に30万円~200万円が相場です。
また、発注から納品までに1~3ヶ月程度の時間がかかります。動画制作を依頼する際は、予算と納期に余裕をもったスケジュールを組み、制作会社と密なコミュニケーションを取り続けることが重要になります。
この記事を参考に、計画的かつ効率的な動画制作が実現できれば幸いです。